ロクアカ

ロクアカ/エレノアはなぜペンダントで暗殺を?4話から6話まで続いた巧妙なルミア暗殺計画の裏側

6話で、4話から展開されていた魔術競技祭の話が終わりましたね。めでたしめでたし。(*´∀`)

「約束は約束だからな」
「私また助けてもらったんですね。先生やお母さんに…」

「あいつらも頑張ってくれたよ。報奨金と給料3か月分も手に入ったしすこしくらいねぎらってやるか…」

このペースだと3話で一つの事件な感じで進めて行くのかなと思いもするところ。今回はルミア暗殺計画の裏側についてです。

視聴者が気になったこと

黒幕はエレノアだったと、6話は開幕にて、突然暴露されました。

エレノアにはそれまで、ペンダントを渡す際の一抹の怪しさはありこそすれ何か特別なフラグも、これといった不敵さもなく、王室付きの慇懃な(可愛い)メイドそのもの。そのためにこの顔の変わりように驚いた人も多くいたようです。

それにしても6話の視聴を終えたファンが疑問を抱いたのは、「なぜエレノアはこうした回りくどい暗殺計画を企てねばならなかったのか」という点でした。

暗殺計画の目的

事件後、エレノアは天の智慧研究会所属の外法魔術師らしい殺伐とした笑みとともに「アカシックレコード。そのための王女、とでも言っておきましょう」と言って去りました。

この発言からは、天の智慧研究会の目的がルミアであり、また「感応増幅者」であること、ただし暗殺を企てていたことからルミアの生死は問わなかったという点が伺えます。(3話の襲撃事件の誘拐目的から今回暗殺になった理由は、前回とは違って今回が天の智慧研究会の“急進派”による指示だったためですが、まだそれほどまとめられる内容でないためかここはカットされてます。)

エレノアの高い立場を利用した計画

「アルザーノ帝国魔術学院と言えば先だって事件が起こったばかりではないか。なぜそのような場所へ?」
「ゼーロス殿もご存じでしょう。その事件の渦中にあったのはエルミアーナ王女だったことを」

いずれにしても、ルミアのその感応増幅者としての力が天の智慧研究会には必要なこと。そしてルミアは死体でも構わない。これだけを見れば、暗殺計画にはいくらでもやり方があるようにも思われます。少なくとも、今回のようなスマートなやり方でなくてもいいんじゃないかと考えられもするところ。

エレノアの変貌っぷりもありましたし、前回は爆破でしたからね。

「恐れながら申し上げます。あの学院には…」
「病死したことになっているあの子が」

ですが、そうした目的第一のテロリストらしいやり方は、グレンによって計画が一度頓挫したことが影響を与えました。誘拐と爆破の失敗はエレノアも当然知るところであり、グレンを始めとする学院関係者やアルベルトとリィエルの所属している宮廷魔導士団にも知れています。一筋縄ではいかないことが分かり、それから上に書いた天の智慧研究会の上層部の指示元、一派が違ったという理由もあります。

「あれから3年…私はあの子に憎まれているのでしょうね」

また、ルミアは元であっても王女であり、エレノアにしても王室付きの侍女長兼秘書官というかなりの高官の地位。エレノアが直接的に手を下すのは、王室(職場)を離れるということでもあり、忌避され&死んだことになっているルミアを王女に会わすことも当然できないため、具合がよくありません。

そうして殺害に加担する、指示をする、あるいはルミアに直接会うことなど、エレノアには立場上、周囲に不穏な動きは見せられなかったのですが、逆に言えば、目立ちさえしなければ(魔術を使用しなければ)動くことができる、ということでもあります。女王アリシアの絶大な信頼と庇護を得ているために。

エレノアは、しいては天の智慧研究会の上層部は、魔術学園に長年もぐりこませていたヒューイの時同様に、この誰からも信を得ているエレノアの完璧なスパイの立場を利用することにしました。

「それでは…ならんのだ」
▲ あと、危険であるにも関わらず魔術競技祭に見に行くほどのアリシアの娘想い、ゼーロスの少し過剰な王室に対する想いも利用することにした

セリカ=アルフォネアの封殺

計画を立てる上で重要になってくるのが、計画の成功の「阻み」となり得る存在のことです。

エレノアは侍女長兼秘書官として王女アリシアからは全幅の信頼を得ていますが、王室親衛隊総隊長のゼーロスや、組織として常に敵対している帝国宮廷魔導士団の目を潜り抜けなければなりません。そして、なによりはセリカ=アルフォネアの存在があります。

アニメではセリカはまだほとんどギャグ担当ですが、実際は世界で唯一の第七位階の魔術師で、第六位階のツェストなどの天才とは比べ物にならないほどの存在です。


▲ このシーンはギャグでなく割と大真面目なセリカの力量(´Д`;)

魔術師としては第四位階だったエレノアが、そんな神にも匹敵し得る存在のセリカと敵対することは、最大の悪手です。部屋に大きな穴がぽっかり開いたように何もかもが吹っ飛び、あるいはあまりにも簡単に捕縛され、天の智慧研究会が動きにくくなるというだけ。しかもセリカは王女アリシアの傍にいます。最強の護衛です。

ただ、セリカはグレンを溺愛するほどかなり人情深い一面がありました。アリシアとも親友でした。つまり、セリカは「アリシアの危機には絶対に手を出してこない」。

「陛下のお命利用させてもらいます。我ら天の智慧研究会の崇高な使命の為に。呪殺具を解除する方法はただ一つ。日没までに…」

エレノアは、関係者が来賓席に揃っていることを利用して、大胆にも呪殺具が装着されていることを直接セリカに伝えました。呪殺具が発動する条件は、グレンがざっくり言いましたが「1.外したら装着者を殺す。2.一定時間経っても殺す。3.呪いの情報を新たな第三者にばらしても殺す」でした。

あえてアリシアがいない場を選んだのは、ゼーロスとセリカのアリシアに対する想いを助長させる意図があったのかもしれません。だとすればかなりの策士ですね。

「セリカ様。女王陛下がいらっしゃらない今お話ししておきたいことが…」
▲ 5話中盤での同シーン。ここのところを、アリシアの単独行動と親衛隊の騒ぐ様子と被せて内容を錯覚させておいて、6話開幕で改めて内容を暴露させた辺り、製作陣は考えてますね…。

解呪の条件は分かりやすく『ルミアの殺害』。そうして、親衛隊総隊長であるゼーロスは、ルミア(異能者)<女王第一の心のままにルミア暗殺の指示を部下たちに出し、娘の死の瞬間を見せて悲しませないために無礼覚悟、自害覚悟で捕らえることにしました。

▲ ゼーロスがここで女王に御身に危険が迫っていることを説明、あるいはそれとなく伝えたんですが、ゼーロスの娘の死を悟られまいとする想いとは裏腹にアリシアもまた、ルミアに危険が迫ったことを常に危険と隣りあわせだった娘を持つ母親として感知しました

ルミアの遺体回収ルート

「随分とご機嫌ですね」
「遠くからですがあの子の姿を見られるのですからね」

ここはアニメでは触れられなかった点ですが、エレノアにはもう一つの入念な準備が必要でした。それは、ルミア暗殺後の遺体の回収ルートの確保です。

曰く、これには骨を折ったとはエレノアの言。(この遺体のルートの詳細については作中では触れられてはいませんが、天の智慧研究会の人間を密葬担当の者にすることだったり、処刑後ないしは処刑中にでもルミアの体に“魔術的な仕込みをする”ことだったりしたのかもしれません。)

「陛下。そのペンダントですが…代わりにこちらはいかがでしょう?」

つまり…直前まで身バレせず、王宮魔導士たちにも悟られず、かつスムーズにルミアの遺体を回収するためには、

・“人外”であるセリカを封じるのがまず第一であり、
・それにはアリシアに死の淵に立ってもらう――人質にする必要があった、
・そしてアリシアを死の淵に立たせるためには国家問題を内包しているペンダントが動きづらい高官の立場的に利用しやすく、
・古典的ではあるけどペンダントを用いての呪殺が一番無難であり、

・「女王の身を案じるゼーロスが上手いこと暗躍してくれ、ルミアを代わりに殺すだろう」
・上手くいけば宮廷魔導士団もゼーロスの動向に注視してくれると、才媛エレノアは踏んだわけでした。

「帝国もボンクラばかりではないようですね」

ちなみに、代わりのペンダントを王女アリシアに渡す例の怪しいシーンでは、エレノアはしっかり「無礼を承知で」と前置きした上で、「ルミアと女王が“まるで親子のように寄り添っている写真”を誰かに見られたら事になる可能性がある」という正統な理由を述べた上で渡しています。