慎重勇者

慎重勇者/11話感想 慎重な勇者になった理由は王道だったけど伏線回収が見事すぎた リスタはなぜ変態に……w

前回の10話は大波乱で、これまで怒るばかりでいいところがまるでなかったロザリーの感動場面もありで、面白かったです。

大波乱に思ったのは、最後の四天王イレイザ=カイゼルを一薙ぎで屠った戦帝がまさかの敵に回るという事態からですが(てっきりイレイザは蘇ったりするのかと思いきやそんなことは全くなかった。面白い。)、波乱は今回の11話も続きます。

10話の終わりで聖哉が急に休もうとを言い出したことをはじめ、レディ・パーフェクトリーを言わなかったり(リスタの気づきもあり)、アリアが何か隠している風だったり、これまでに幾重にも伏線があったのである程度察していた人も多そうですが……

そうです。聖哉は転生2回目の勇者です。

慎重勇者/10話感想 まさかの敵になった戦帝の最期は結構悲しかった……ロザリーは良い君主になれるか?休止回の総集編を挟み、遅れての10話になった慎重勇者。 最終話まで放送できるかと不安にさせられたところですが、最終話である12話は...

11話の概要

「え!?来てない?」

休んでいいと言われたリスタたちが脳をとろけさせた(笑)買い物から戻ってみると、聖哉の姿はなかった。

待っても探しても戻ってこないので、イシスター様のところに行ってみると、そこにいたのは泣いているアリアの姿だった。

その先の神々の魂が保管されている間でイシスターから告げられたのは、聖哉が一人で魔王城に向かったことだった。

衝撃の事実

「口は悪く性格も傍若無人。けれど竜宮院聖哉は優しい子です。勇者として召喚されて以来あの子は自分の仲間を救うことを何よりも第一に考えています」
「そんな…嘘…嘘よ…」

イシスターからは様々な隠された事実を語られます。

聖哉がいつも、リスタや仲間を気にかけていたこと。
聖哉のステータスが竜の里にいた時点で既に限界値に達していたこと。
ヴァルキュレから破壊術式の最終奥義であるヴァルハラゲートを授かったこと。

そして、聖哉が以前アリアにより召喚された時に、魔王の討伐を失敗したこと。

なかなか怒涛のネタばらしもとい伏線回収です。

昔の聖哉は正反対

「では早速キマイラ征伐に向かうぞ」
「ねぇ聖哉…まだ早いわ。キマイラのレベルは私達より上なのよ。もっと修行を積んでからの方が…」
「時間がもったいない。とにかく戦った方が早い。それに戦略だってある」

▲ 以前の聖哉はせっかちだった。ゲームで言うところのレベル上げをあまりしないでガンガン進むタイプ(低レベルクリアみたいなもの)

それにしても、急に王道臭というか、まとめ方が上手くなったなという印象を受けました。これまでの限界突破(笑)なギャグモードから一転してシリアスになったので、その落差からも、その実態をより見えやすくしているのかもしれません。

なろう+大手?

作者の方はなろうとカクヨムで作品を掲載している方なのですが、今作の慎重勇者はカクヨムで掲載している作品です。カドカワ版なろうですね。

なろうはなろうで受けるもの、カクヨム(ファンタジーにおける“一般的な”作りの王道作品や、ゲーム性の低いもの・ゲーム的知識をあまり必要としないもの、文章力が確かな文学的文章力を発揮している作品など)はカクヨムで受けるものをと器用に書き分けているのかは分かりませんが、この作品――慎重勇者では11話にして伏線を全て綺麗に上手く回収できています。

「これって…マジで師匠なのか?」
「ロザリーさんみたいだね…」

▲ ロザリーにきつい仕打ちをしたのは、以前の自分が重なるという、ここまでしっかりと伏線は回収する

毎回のように披露されていたリスタの顔芸の汚さによってため息が出るほど美しいとは言いませんが(笑)、久しぶりに綺麗でそして見事な伏線回収の技を見た気がします。そう、なろう系ではあまり見ない類の見事さです。コメディ作品だけにスピード感はかなりあるほうなのかも。

「それ死にかけてんだよー!!」

▲ 前世でも健在だったツッコミの才能。というか、受け継がれたと考える方が楽しい。というか、なぜあの変顔&変態に……?ww

作風と聖哉の過去について

「それでも聖哉には天賦の戦闘の才があった。相手よりレベルが低くても、準備なんてしなくてもどうにか敵を倒していった」

伏線を開示するまでに少しため過ぎた感もあります。というのは、伏線を溜めに溜めた割には(待たせた割には)、聖哉が二度目の転生であり、最初の転生時には正反対の性格でさらに恋人のお姫様とお腹の子供を同時に殺されたという凄絶な過去は、少し典型的な悲劇のエピソードだからです。可哀想だとは思います。でも結構いるんですよ、母子を殺されて復讐に走った人って。(男なら絶対に味わいたくない末路の一つなので、やっぱり見るにはそれなりに堪えるものがありますけどね……。)

あと、冒頭で筆者は四天王のイレイザ=カイゼルがあっさり死んだことに驚いたと書きました。ミティスのキモさは正直「キッッモッw」という感想を通り越して感心してしまいましたし、アデネラのくるくる変わる顔芸なんかは面白かった&可愛らしかったものです。

「片乳タイプの水着です。お似合いですよ~」

「アンダーレスタイプの水着もありますがいかがでしょ~?」
「それとトップレスタイプの水着合わせたらただの全裸だよね~!?」

▲ 奇天烈は11話のAパートでもしっかり。ひっどい水着屋もいたものですね(笑)やり取りは割と最高潮に面白い部類だった

慎重勇者はそういう奇天烈な、いや、ある種珍妙ですらある作品です。なので、シリアスシーンにより割と突然王道めに落ち着いてしまったことは、……「あれ……?」という違和感を抱いたわけでした。聖哉の性格が正反対であったことはなんとなく予想はしていましたし、落ち着くところに落ち着いたというのはあったので、そこはさすがといった感じではありましたけどね。

「ああ。明日は朝から出発だ。お前もそろそろ寝た方がいい」
「さすがに不安で眠れなくて…」

実際、聖哉が正反対な性格で喋っているのは、見ていて新鮮でした。と同時に、違和感もあまりありませんでした。

過去・現在ともに、ああ、なるほどなと思わされるキャラに仕上がっていたのは、これまで散々面白くしてくれた聖哉のキャッチ―かつ面白い慎重っぷりを発揮してくれた人物像にあったんでしょうね。コメディ系って、こういうものも作れるんですね。すごい。

12話はどう落ち着くのでしょうか? 2回に及んでしまった休止が、この少し緩急の激しすぎた部分で影響を及ぼしているのか。それとも、及ぼしていないのなら、12話でも何かしらの影響が出てしまうかもしれませんから、気になりますね……!

「やっぱちゃんと準備してから行かなきゃ駄目だって~」
「ガナビーオーケー。なんとかなる」

慎重勇者/12話感想 再会は難度SSの世界で 放送休止を2回も挟んだとは思えない綺麗なエンディングでしたついに聖哉の過去が語られた11話の前回。 伏線が分かりやすかったので、アニメのみ視聴している人でも予想がついた人は多かったようにも...

もっと楽しむ方法

慎重勇者は、動画ストリーミングサービスのサイトで一気見することができます。

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