転スラにはキャラが多すぎて、誰が好きとか難しい人も多いと思うんですが、筆者にとってはヨウムはあっさり好きになったキャラの一人です。
とくにアニメのヨウムはどんぴしゃりでした! 細谷佳正さんですね。
筆者が印象に残っているのはアルスラーン戦記のダリューンや、落第騎士の倉敷蔵人、斉木楠雄の窪谷須亜蓮などですが、
「これは大した町だ。アンタが邪悪な存在じゃないってのはアイツらを見てよく分かった」
見た目や言動は人を寄せ付けないけど根はそうでもないという、「悪ぶっている(風)」キャラは、基本はまる気はします。確かに影があるような感じではありますが、不思議な声です。
その例に違わずシュナにも態度が悪いと内心で指摘され、シオンからも制裁されたヨウムくんですが、その波乱万丈っぷりは、転スラのキャラのなかでも割と作中一と言えるかもしれません。(何百年も生きる魔物ばかりなので、比較対象として微妙なんですけどね…w)
辺境調査団の団長
もともとヨウムはファルムス王国の辺境調査団の団長として生計を立てていました。調査団とは言っても荒くれ者の集まりで、雇い主は装備の奮発をしてくれるわけもなく、いわゆる“使い捨ての人柱”に近いもの。
▲ この調査団とはそのままの意味で、各地を巡らせることで、雇い主であるニドル・マイガム伯爵が領地内や近辺の緊急事態への対応を速やかに行うことを目的にしています。
荒くれ者の彼らを束ねているなかで、監視役であるはずのロンメル(メガネの子)をはじめ、団員たちはどこかで落ち延びられるのならそうしようと考えていました。それもこれもヨウムが「また強制労働させられるくらいなら俺についてこい」と呼びかけたことによるものです。
▲ リムルたち側から見るとちょっと三枚目でもある(笑)
そんな心境のなか出会うのが、おなじみの三人組であり、ゴブタであり、そしてリムルたちでした。
英雄へ
「簡単に説明するとだな、君たちにオークロードを倒した英雄となってもらいたいのだよ」
そうしてリムルと話していくうちに、ヨウムは「オークロードを討伐した英雄にならないか?」とリムルから持ち掛けられます。
他のファンタジー作品と同じように、転スラの世界でも人間にとって魔物は脅威以上の何者でもありません。転スラの魔物はたいがい可愛らしいのでそんな風には見えませんけどね。(笑)
ですがリムルは人間と仲良くしたい、ということで、その足掛かりとして逆に恐れられてしまう可能性のある「魔物を討伐した者」は人間であるヨウムに譲り、自分たちは人間のサポートをしたことに留めた方が好感度が高くなると踏んだのでした。
なぜヨウムを選んだのか
この話し合いの場で、リムルの「使い捨てなのに、なぜオークロードを調査するという危険な仕事から逃げなかったのか?」という問いがありました。ヨウムは「町の人が危ねぇじゃねーか」と答えます。
この辺りアニメではカットされていますが、この返答からリムルは、ヨウムは実はいいヤツじゃないか?と考えて、
・腕は立つが調子には乗らない
・仲間に慕われるカリスマ性もあり
・顔も悪くない
・なによりイイヤツだ
というヨウムへの評価を下しています。ロンメルから見たヨウムのかっこいい一面が語られたり、読み応えのあるシーンの一つです。
「よしお前ら陣形を組め。負傷者はすぐに下がらせて回復! 命令だ。全員生き残れ!」
「おう!」
▲ カットされた代わりに、ヨウムの率先して前に立つリーダーとしてのかっこいい戦闘シーンがアニメでは組み込まれてる
そしてまさかの王へ
ヨウムはテンペスト国の住人として暮らしつつ、ハクロウから稽古をつけられて英雄になるに相応しい実力や外見を手にするのですが、やがてとある悲劇が起こります。
悲劇とはシオン死亡記事でも触れていますが、敵国が――ヨウムの出身国であるファルムス王国が綿密な計画の元テンペスト国にやってきて、蹂躙していたことです。
この事件で憤怒の魔物と化していたリムルは後に攻めてくる王国の1万の兵と、現執行部の人間を皆殺しにすると決めるのですが、そうなると国をまとめる中枢の人間の大多数が失われるわけなのでファルムスは半壊するかもしれません。
事件に関わった人間を殺すことは確定でも、関わりの薄い国民たちまで困らせたいわけではないリムルは、ファルムスに停戦協定を結ばせることを考え、そこで既に英雄でもあるヨウムに白羽の矢が立ちます。
「お前、王になってくれ」(web68話)
ヨウムと相思相愛?のミュウランを助け、打算的な堀固め
この話のとき、テンペストに伝令がきていれば、悲劇が回避できていたことも知らされていました。テンペスト国への伝令役はミュウランという女魔人であり、ヨウムたちの警備隊に紛れ込んでいた魔人の一人です。(リムルはスルーしていた)
また、クレイマンから心臓を握られ、仕方なく伝令を伝えられなかったこともミュウランから語られます。
リムルはクレイマンを抹殺することを確定事項にしつつ、ミュウランに敵意はなく、ヨウムとも“妙な仲”であること(少なくともヨウムの意中の相手であること)を察して、ミュウランの心臓を作り変えて自由にしてやるのでした。
「ヨウム、リムル様は貴方なら出来ると思っているのよ。私も、波乱万丈に生きるなら、貴方を応援すると約束する」
そうすれば、ヨウムは王になることを承諾してくれる可能性がぐんと高くなるだろうし、忠誠を誓うミュウランが後押ししてくれると踏んで。やがて王の妃となって、政務や重圧で大変になるヨウムを支えてくれるだろうとも、少なからず考えていたとは思いますけどね。