転生したらスライムだった件、もとい転スラのなかで一番の人気キャラといえば……リムル!ではあるんですけど(美少年・美少女キャラでもあるしね。ちょいずるい笑)、
女の子でトップ人気なのが、シオンのようです。筆者も好き。シュナも同じくらい人気なようですが、シオンはタイトルにもあるように死んでしまいます。
死ぬキャラは人気になるよねっていうと、元も子もない話ですけど、やっぱり死ぬキャラには人気になるそれなりの理由があったりします。
つきっきりの秘書官
シオン(紫苑)は大鬼族(オーガ)の一人。リムルに会って配下になる以前は、オーガ一族の里を治めていたベニマル一党の家臣が一人でした。
アニメで初登場した9話では、コミック版と同じく、リムルに対する濡れ衣の復讐心もそうですが、一族筆頭の者を守ることに忠実な戦士らしい冷徹さや、オーガの戦闘種族らしい殺伐とした雰囲気を見せつけていますね。
とくに会話もないですし、確かにうかがえるのは、モーニングスターをぶんまわす豪胆さくらいのものでしたが、そうした一モブ家臣っぽさもリムルから名前を与えられると一変。
秘書を自ら申し出たままに、エルフたちやほかのゴブリナたちと同じように、リムルによくくっついてくるほどまでに緩和、モーニングスターから大太刀に持ち替えてメインキャラ化します。
▲ 褒めてほしいお年頃
ただ、リムルが用意させた秘書スーツをまとって、クールビューティーな雰囲気はあっても、経理はダメ。戦闘ももっぱら力任せで(+武器好き)、料理も殺人級に下手ときていて、そしていわゆるボイン担当でもあります。
ちなみに、このネームドによるオーガたちの変貌に関して、リムルはいろいろとコメントを寄せているのですが、シオンに関しては「野性味が薄れて知的な雰囲気になった」と評しています。ただし、あくまでも変貌を見た直後の感想です。(笑)
▲ リムルの手に向けてまっすぐに手を伸ばすアニメ公式のシオン
とはいうものの、誰よりもリムルに忠実なのはやはりシオンかもしれません。リムルを少しでも侮辱されたとあっては真っ先に怒りの感情を押し殺す彼女は、やっぱりかわいらしいですよね。
シオンの死と復活の経緯
ある日、ジュラ・テンペスト国に襲撃者がやってきます。本来ならリムルがいるのでなんら問題ないはずでしたが、リムルはあいにくの外出中でした。
また、まずいのは、この襲撃者たちが対リムル戦に念には念を入れていたこと。魔素を封じる広範囲の結界で、リムルは帰還用スキルはもちろんほとんどの攻撃手段を封じられます。そんな状態のなか、リムルは日本人であり異世界人であると同時に最高峰の剣士でもあるヒナタ・サカグチと対峙し、手こずり、それでもなんとか落ち延びることに成功します。
帰還すると、あったのは横たわる100名近い魔物たちの死体と、リムルに気づかれないように彼らの中央に横たえられたシオンの死体でした。村にもまた結界が張られていて、シオンは力のほとんどを出せないまま、討たれていました。子供をかばい、そしてリムルの「人間には危害を加えるな」という命を忠実に守って。
リムルは3日間シオンの死体を前に、大賢者にあらゆる解析を頼み、シオンたちの復活の手立てを探りました。ですが蘇生魔法の知識もなく、方法が見つからずにいたところ、エレンたちから『死者たちが復活した御伽噺』の話を聞きます。
その御伽噺とは、「自分が魔王となったとき、繋がりを持っている魔物が死から復活した」という内容でした。そしてリムルが魔王になるために必要なのは、1万人分の人間であることも判明します。
「俺が魔王になるのに必要な生贄は10,000名分。
幸いにも侵攻して来る愚か者どもは、15,000名で十分足りる。
これは、俺が魔王になる為の必要な儀式なのだ。
今回は、俺一人で侵略者を殲滅する必要があるんだ」(web版 魔王誕生編 69話)
生贄はご丁寧に大軍を引き連れて、テンペスト国に向かってきていました。魔物の討伐という大義名分と、テンペスト国はたやすく掌握でき、ドワルゴンとの貿易の行路を維持しつつテンペスト国の特産物で自国は潤うだろうという確信を持ちながら。
『シオンの料理は?』『クソ不味い』
▲ ちょっとかわいい…
と、この辺りの物語は、ふだん気さくでひょうきんなリムルが激怒した冷酷な「魔物」になり、シオンの悲劇性が増し増しで読み応えのある場面でもあるのですが(とくに70~71話は伏瀬さんの筆致がいかんなく発揮されてる)、シオンをはじめみんなの蘇生までは結構早いです。
事前の可能性は低かったといっても、シオンはしっかり復活して、元気にクソまずい…じゃなかった、「料理人」という、なんでも美味しくなるスキルを獲得して復活します。これにはベニマルもニッコリ。僕たちもニッコリ^-^ シオンの明るさや忠実さが大事なのはもちろん、転スラにはシリアスモードよりもハッピーなファミリーモードだよねとも改めて教えてくれるお話でもあります。