12話はガビル回でしたね!(アニメでリザードマンがここまで活躍するようになったのは、やっぱり最近の傾向じゃないかと改めて思い始めている筆者です)
「みんなアンタについていく。頼むぜガビル様」
内容こそ父親ないし一族の首領に対する謀反という、あ~あなフラグ建築回ではありましたが、攻勢に打って出た一連の流れや、リザードマンたちからの意外な支持率の高さを見て、ガビルから結構カリスマ性を感じた人も多いんじゃないでしょうか。
「いいとも。我が輩がリザードマンの真の戦い方を見せてやろうぞ!時が来たのだ!」
「オォー!」
▲ 首領の息子&ネームドの権威性は強い
そんなガビルは、一方では、初登場時の9話からリムル陣営は漏れなくいらおこさせつつも、僕らのことはおなじみのガビル節もといおバカっぷりで楽しませてくれていました。場を和ませるという意味では、ホブゴブリンのゴブタとよく似ていますね。
彼は嬉しそうに納得していた。やはり、バカだ。ゴブタといい勝負をしそうである。(web内より)
でも決定的に違うもの、ゴブタが持っていなくてガビルが持っているものをはっきりと提示してきたのもまた12話での謀反でした。
リザードマン一族唯一のネームド
「ですが親父殿その呼び方は些か無粋ではありませぬか?我が輩にはガビルというゲルミュッド様から頂いた名前があるのですから」
ジュラの森で、リザードマン一族をまとめている首領の息子がガビルです。妹(のちにソーカ)がいて、彼女は父親である首領の親衛隊に所属しています。(「変な奴」のガビルの妹ならソーカもまた「変な奴」と一蹴しているリムルの心境はちょっと楽しい)
権威ある親を持っている息子がホラ息子化するのは、いつの世の中の通例としてあります。ガビルは部隊という規模ではないですが自分直属の親しい部下があり、吾輩という自称、首元には “もこもこ” がついていて、どことなく「いいとこの坊ちゃん感」もガビルにはあります。
「いやいや…少々不遜なことを言ってしまったが我が輩など親父殿には遠く及ばんよ」
「昔はあんなにも大きく偉大な男だったというのに…」
けれどもしっかりと父親に対する尊敬心も抱いていて、ちらちら見え隠れする野心や貴族っぽい高慢感とは裏腹に、言葉遣いは丁寧ですし、意外とまともです。
「こ、この力…!ボルテックススピアよ我が輩を主と認めてくれるのか!?」
▲ 武芸に関しても仲間たちいわく首領の若い頃に匹敵
そう、意外とまともなんですけど……取り巻きのリザードマンたちがね、ちょっとね、持ち上げちゃうんですよね。(笑)ガビルもそれを真に受けてしまうから……w
「その槍捌きにおいて右に出る者なし」
「アンタ今立たないでいつ立つんだよ?」
「(え? うん…うーん?え…何…? ひょっとして我が輩ってば結構イケてる!?)」
カリスマ性は善か
ガビルがフラグを乱立してしまう原因は、ガビルよりもおバカちゃん?な仲間たちになってしまうわけなんですけど、ガビルはそれで仲間を責めたりはしません。単にガビルがそういう方向に考えが向かないほどどこか抜けている、ならびに浅知恵というのもありますが、とにかく仲間を責めたりはしないのです。
いわゆるカリスマ性というものは必ずしも人を束ねたり率いたりする能力ではありません。正確には、人を惹きつける能力と言うべきもの。
自ら人を(リザードマンですけど笑)率いていって何かしらの行動を起こし、失敗したとき、責任の追及が率先した者に向かうことがあります。なぜなら、率先された者たちはあくまでも率先されたまでであり、被害者意識を持っているから。率先者がいかに人をまとめあげる管理能力や人事能力が高くてもこれは変わりません。
「い、いずれまた来るぜ」
「然り。これで終わりではないぞ」
▲ ゴブタに無様に敗北してしまっても、決して見放さない仲間たち
そこに率先された者たちが率先者に対する多大な好意を持っていれば? 責任の追及は不思議と率先者に向かいません。なぜなら率いられた彼らの行動理由が、率先者が好きだからという、率先者のための自発的な行動になっているから。これが必ずしも率いる能力=カリスマ性だと言えない理由。政治家も一生懸命、性格の良さをアピールします。基本的に民衆は悪を嫌い、善を好みます。悪をなぜ嫌うのか、そもそも悪とはなんなのか、深く掘り下げてみようとはしません。
またカリスマ性には権威性はもちろん、環境の広さも大きく影響しています。ガビルはリザードマン一族内では首領の若い頃に匹敵するほど猛者の部類です。首領の息子でもあり、権威性もじゅうぶん。だから、カリスマ的地位を獲得することができました。環境がもっと広く、例えばジェラの森以外のリザードマンたちも含めたら、ガビルの強さはかすんでいき、カリスマ性をじゅうぶんに発揮できなかったかもしれません。
「なんすかこの状況!?」
冒頭でも似ていると挙げたゴブタには残念ながら、カリスマ性を得る環境にありません。ホブゴブリン内なら強さとしてはリグルドやリグルと合わせて二、三強くらいではあったかもしれませんが、陣営にはリムルやオーガたち含め、到底かなわないような強さを持った魔物がたくさんいます。それに「~ッス」と常に下出に出るゴブタにはそもそも人を率いて、惹きつけるのに必要不可欠な蛮勇というもの、性格の良さというものが備わっていませんでした。そういったものはリグルドやリグルが持っています。
「前に言った時は門の前で絡まれたっすけど…」
またゴブタは武に関してはガビル以上の才能の塊ですし、愛されキャラではありますが、窮地に陥った時、もしかしたら逃げてしまうような、頼りづらい部分がありました。もし、ホブゴブリン内で自分たちの身を守らなければならなくなったとき、戦闘力もあり、リムルたちからひいきにされてもいるゴブタは仲間たちから頼られるようになり、カリスマ性が初めて鍛えられるようになります。
陣営最強の飛行部隊
ガビルは、無能では無い。大局を見る目を持たないが、戦士団を率いるその手腕は賞賛されるべきものがあった。(中略)ガビルを慕う者がいる。その事を鑑みても、ガビルが勇猛なだけの無能者では無い証明であった。
ガビルのカリスマ性には、リムルも一目置いていたりします。(あくまでも一目)web小説内の描写でもそういったガビルを評価している説明がされていますね。
オークたちとの戦い以降、ガビルは謀反の処罰を受けて勘当されもしますが、リムル陣営に頭を下げて戻ってきて、ちゃっかり陣営に加わります。そうして名づけを繰り返すうちに、ガビルは飛行能力を得た竜人族(ドラゴニュート)になり、リムル陣営内最強の飛行部隊を率いることに。
最強部隊といっても、口調とか、性格は一切変わることがないですし、ガビルを囲う者たちも変わらない辺り、ガビルにはやっぱりカリスマ性があるんだなあと思ったりするところです。(リムルがその辺分かっていて、ガビルを決して褒めなかったのもある)僕らからしてみたら、ガビルも仲間たちも、そしてゴブタも面白キャラであることには変わりないのですけど。(笑)
「(やっぱり我が輩イケてるのかもしれん!)」
▲ ガービル!ガービル!w