ロクアカ

ロクでなし魔術講師と禁忌教典/3話でのレイク戦で起こった心理戦のもう少し踏み込んだ解説

3話にて、グレンはシスティーナとルミア、そして生徒たちのために奮戦しました。

「マジカル~~~パーンチ!」
▲ なんかここは小悪党っぽいw

1,2戦で終えるならまだしも、3戦目、戦いではありませんでしたがまさかの4戦目まで続き、特にバトル好きなアニメファンを賑わしたところ。

ですが、レイク戦は内容がちょっとスピーディで、人によっては「ん?」と思う内容だったようにも思います。今回はレイク戦のもう少し踏み込んだ解説です。

レイクは手数の多い高スペック魔術師

「なんて…そんな甘い相手じゃないよな」

ジン、レイクの召喚したボーン・スケルトンをなんとか倒したグレンは、マナ欠乏症になりながら、召喚した本人であるレイク=フォーエンハイムに出会います。

「あの剣をディスペル・フォースで無力化できる魔力は残ってるか?」
「多分残りの魔力を全部使っても少し足りません…」
「よし」

▲ 戦う前の内緒話

グレンが嫌な予感がする、というように、レイクはグレンの【愚者の世界】の効果を理解した上で、つまり剣の魔道器を発動させつつ登場しました。グレンは内緒話である“問いかけ”をしたあと、システィを逃がします。

「貴様は逃げないのか?愚者の世界とやらで魔術の起動を封殺できるのは知ってるぞ」
▲ なぜレイクがグレンの能力を事前に知っていたのかというと、使い魔との視覚同調や、“遠見系”の魔術は戦いに身を置く魔術師なら誰でも持っていること、レイクも当然所持していたから

剣の魔道器は手動2+自動3

ですが、レイクが魔道器を事前に発動させておいたことにより、相手の攻撃手段をグレンは知ることができました。(この点でも【愚者の世界】は優秀ですね。)グレンは長年の戦闘経験や魔術知識から、剣には「熟練の剣士の技を記憶している」か、「術者の意思で自由自在に動く」辺りと予想、

とはいえ、不意をつかれ、背中を切りつけられたことにより、実際は“3本が自動剣であり、2本が手動で動く剣”という厄介な代物であることが判明します。

長期戦は禁物と判断したグレンは早々と仕掛けます。

死の二択

「紅蓮の獅子よ!憤怒のままに吼え…」

グレンはまず高火力の爆発系軍用魔術【ブレイズ・バースト】を唱えました。システィーナにさえ負けてしまうお粗末な三節詠唱で。

「霧散せよ」

当然これをレイクは封殺し、相手が詠唱が苦手だと推理した上で「手本を見せてやる」と一節詠唱してきたわけですが、実は【ブレイブ・バースト】の三節詠唱はブラフ。

「(かかった!)猛き雷帝よ!極光の閃槍以て刺し穿て!」

グレンはこれに乗じて、ジンの得意とした速くて殺傷能力の高い【ライトニング・ピアス】の詠唱を開始。左手ではポケットから何かを出そうとしている仕草をします。ポケットにはもちろん【愚者の世界】。

「ちっ」

この二択が意味するところは、
1.レイクの【ブレイズ・バースト】実行は【愚者の世界】により封殺され、剣の魔道器を動かせないままに、格闘でやられること
2.【ブレイズ・バースト】を止め、剣の魔道器で迎え撃とうとしても、既に詠唱している【ライトニング・ピアス】の方で討たれること

アニメでは魔術起動前後にはマナが乱れる瞬間がある、というざっくりとした表現に収まっていたところでもありますが、魔術には「マナ・バイオリズム」という概念があり、どんな達人であれ、魔術の使用後にはいくばくかの魔術の停止時間が発生します。つまり、レイクの魔道器が一瞬止まることを意味します。

グレンはこの時間すらも計算し、【ライトニング・ピアス】か格闘のどちらかで討てると判断したわけですが、レイクもまた察知したこと、剣の魔道器には【トライ・レジスト】という魔術攻撃を防ぐ魔術が付与していたことがグレンの計算外でした。

【ライトニング・ピアス】は手動剣により防がれ、作戦は失敗に終わりました。

切り札はシスティーナ

「ただの魔術講師だよ。非常勤だけどな」

「どうかな。だが貴様に敬意を表そう。死ね!」

あとがなくなったグレンはもう一つの手札、最後の作戦の行使を決意しました。上の“死の二択”よりもずっと期待していなかった、システィーナの参戦を踏まえた上の、魔術の起動を停止させる【ディスペル・フォース】を利用した作戦です。

グレンは魔術の才能(マナ容量や、詠唱短縮のセンスなど)がありませんが、システィーナは才能があります。しかも、まだ未成熟ではあるけど天才に近いとグレンは判断していました。即効で【ゲイル・ブロウ】の魔術改変ができたことや、グレンの拳にまだ残り、レイクの魔道器を弾くことができている強化魔術の持続時間により。

「原初の力よ…」
「(ディスペル・フォースか!?)」

この強化魔術が終えたら負けると判断したグレンは、【ディスペルフォース】を唱えます。

「ぐっ…均衡保ちて零に帰せ!」

レイクの攻撃をぎりぎりで心臓の致命傷を避けつつ、魔道器に【ディスペル・フォース】を充てます。レイクの魔道器に魔力増幅回路が組み込んであったこともありますが、グレンの魔術師の才では効果は2割程度。

「力よ無に帰せ!」
「なに!?」

レイクは手動剣の操作で息の根を止めようとしますが、そこでこの奥の手のために崖から突き落としたシスティーナが登場。レイクはもちろん、ジンにより萎縮していた生徒がわざわざ登ってきてこの魔術師同士の死闘に参加、助太刀してくるとは予想していませんでした。

「グレン先生!」

ここで内緒話の「解除するには少しだけ足りない」という内容が生きてきます。グレンの少ない効果がシスティーナの【ディスペル・フォース】の効果のあと一歩足りない分を補ってくれ、重ねがけにより、剣の魔術操作は完全に解除。

「…く!『目覚めよ、刃…』」

「おせぇ!!」

グレンは【愚者の世界】でレイクの再起動を防ぎつつ、普通の剣に成り下がった剣で、止めを刺したわけでした。カードゲームのようだとは見かけたファンによる発言ですが、よく練られてるなぁと思います。

「先生!」
「大丈夫だ。お前よく俺の意図がわかったな」

「私を逃がすためだけなら先生はあんなこと言いませんからね…」
▲ システィかわいい

ちなみに原作だとシスティは「残念ながら私も先生の破天荒な思考パターンが読めるようになってしまったみたいですね」と言っていて、二人の間にはもう少し距離があったりします。顔芸含めてアニメの方がずっと可愛いですw