転スラ

転スラ/シズ、ユウキ、ヒナタなど召喚された異世界人が皆強い理由 ただし失敗すると子供+強くない+寿命が短い

異世界に転送され、冒険を繰り広げる物語(さらに「最強」な存在でもある)というと、近年日本のエンターテインメントジャンルを席巻している大流行のジャンルの一つですが、

その転送された異世界内では、転送された僕ら日本人は唯一無二の存在という内容が多いです。つまり、転生者は主人公のみという設定ですね。

その点転スラはちょっと変わっていて、戦争時代を生きていたシズがレオンから召喚されていたように、他に転生者がしっかり存在しているばかりか、転生者はほかに何人も存在していて、さらには国の兵器ないし筆頭兵として扱われてもいます。

基本的に“僕らのチート力”は、第二の人生への希求心やストレスのはけ口としての価値のままに、自由気ままに自主的に力を行使する側にあるので、最強であるのは変わらないにしても使役される側なのはちょっと変な感じですよね。

当初からシズの存在が関わってきてはいたものの、この設定の練りこみようは、転スラのほのぼのとした雰囲気からはちょっと意外かもしれません。凝り性ななろうものらしいと言うべきでしょうか。

今回はそんな設定をつけられた異世界人(日本人)たちについて焦点を当てていきます。

転スラの住人が異世界人を求めた理由

先に転スラの住人が異世界人を召喚する理由について。

冒頭でも書きましたが、転スラの世界で異世界人は数多くいます。シズに、20話で初登場するユウキに、新OPで出ているヒナタ、そしてシズの教え子だった子供たちに。

彼らの登場は、国ないし召喚主が強力な兵器・兵力としての助力を彼らに求めたからですが、そもそも異世界人は、転スラの世界では稀にですが突発的に現れることは知られていました。転生してきた彼らは、誰もが歴々の魔物に対抗し得る凄まじい力を持った「スキル」をいくつも持っていました。

転スラの世界は人間と魔物が共存しているよくあるファンタジー世界ではありますが、一部の強者たちを除き、その力の差は歴然です。

ヨウムたち辺境調査団が討伐の様子を見せてくれていたように、人間は巨大な魔物一匹を仕留めるのに数人がかりでやっとな上、スキルにしても数年、十年掛かりの鍛錬でやっと習得できるという具合です。

そこで人間たち、ないし国の偉い人たちは、そんな強大な魔物を一人であっさり倒すことのできる英雄たちを気長に待つよりかは、“呼び出す”ことに執心したというわけです。

「異世界からやって来るものはたまにいるが転生者は我の知る限り初めてだ。魂だけで世界を渡ると普通は耐えられないからな」
(ってことは転生じゃなくて異世界からこっちに渡ってきた人はいるんですね?)

▲ 誰に召喚されたわけでもなく、さらには転生したというリムルは、ヴェルドラが言うようにかなり特異な存在だった

異世界人はなぜみんな強いのか

転スラの世界では魔素という概念が存在していますが、これはいわゆる魔法のために使われる「MP」ではなく、どちらかといえば気功術やDBなどの「気」とか、ナルトの「チャクラ」に似たような総合エネルギーで、その人の持つ強さの素質みたいなものです。(転スラ的に言えば“スキルの元となるエネルギー”です。)

召喚された人間たちは元いた世界から転スラの世界に渡る(召喚される)ときに、一度肉体が滅び、再構築されます。その際に大量の魔素を取りこむのですが、1話のリムルが経験していたように、その魔素が本人の意向に沿ってスキルや耐性に結びつき、還元されるとはごく一部ですが転スラの世界の住人たちにも知られていることです。

転生ないし召喚されていない人間たちには、そもそもこの「大量の魔素」を取りこむ機会がなかった存在だったと言えます。だからこそ僕たちと同じように日々積み重ねられた鍛錬や経験により獲得できるのを待つしかありません。

「(刺されて死ぬとかないわ…)」
《確認しました。刺突耐性獲得 成功しました》
《続けて物理攻撃耐性獲得 成功しました》

召喚の際の大量の魔素の有無は言ってみれば、「リセマラをするのとしないのとでは歴然の差がある」ということ。例えばリムルは当初『刺突耐性』や『痛覚無効』のスキルを獲得しました。

この二つは普通に人間として生きていたら、ほぼ絶対入手できないスキルです。仮に鍛錬によって獲得しようものなら、それこそ中国の少林拳法のお寺にでもいって、10年20年修行しなければいけないのを考えると、この召喚時にあっさり付与される「大量の魔素」がいかにチート級の“ギフト”なのか、分かるところ。(リムルは魔物としての転生なので、少し具合が違うところはあると思いますけど)

召喚魔法には完全なものと、簡素なものがある

「また失敗だ」

異世界人が次々と召喚され、さらには兵器目的で召喚されているという設定でもなかなか面白いところですけど、くわえて召喚魔法には完全な場合とそうでない場合があるときています。

完全な場合はともかく、簡素な召喚魔法ないし失敗した召喚魔法で召喚される(不完全召喚)と、子供が召喚されます。子供が兵器として失敗なのは、単純な話、強いスキルをほとんど獲得していないからです。

確かに転生の際に大量の魔素は子供たちにも付与されます。ただし、子供では魔素をスキルに還元できません。このスキルが還元できない理由をリムル的に言うなら、スキルの元となった、「あれこれ考える知性と“人生への悔い”」が子供の頭では描けないからというのだから、面白いなぁと思います。

そして、還元されなかった魔素は行き場を亡くし、子供の転生者の寿命を減らす結果になる。転スラは結構ふんわりとした物語ですけど、意外とこの辺りしっかり編みこまれている物語になっている作品です。