ポケモン

プラチナで登場したシロナはなぜ根強く人気キャラだったのか考えてみた

割と最近プラチナバージョンをクリアしたとりもげです。

プラチナを購入したのは、期間限定のyahooポイントがちょうどいい具合に消化できるというたまたまの理由だったんですが、「そういえばシロナ初登場の世代だっけ、ならちょっと追ってみようかな」と考えたことも理由の一つでもあります。

そんなシロナ。実は歴代ポケモンシリーズのなかでも屈指の登場回数を誇るトレーナーの一人です。

初代の操作キャラだったレジェンド、レッドにこそ及びませんが、「登場がレッドよりも遅かったこと」「レッドがほとんどバトル要員としてのみ参加である一方で、シロナはバトル要員としてはもちろん短いながらイベントキャラとしても登場している」ことを加味すると、レッドよりも登場機会に恵まれているキャラとも言えます。

2015年に発売されたねんどろいど版シロナは、BWのN(エヌ)とともに、今でも人気ねんどろいどの一つです。その売れっぷりはポケモンのねんどろいどとしては快挙だったと、ブログ記事か何かで見た記憶があります。(違うかもしれません)

▲ これ。Amazon’s Choiceにもしっかり入ってる(amazon

とりもげも好きなキャラの一人ではありましたが、この人気はどこから来ているのでしょうか? プレイしつつセリフを追っていると、いろいろと分かったことがありました。もともと外見が好みというだけでしたからね。

追いきれないシロナ情報についてはwikiなどで補足しつつ、なぜ人気なのかなど、つらつらまとめたのを置いておきます。

ポケモンプラチナ/シロナとの会話セリフイベント一覧ポケモンプラチナのシロナイベントテキスト一覧です。...

華の初・女性チャンピオンだから

ポケモンシリーズには、最強のトレーナーたちの集うポケモンリーグがあるのはおなじみ。そこで彼らに勝利して「殿堂入り」するのが、シリーズ共通の一つの大きな目的ないしクリア目標になっています。

ポケモンリーグには「四天王」という4人の最強トレーナーがいますが、その上にはさらに「チャンピオン」なるトレーナーがいます。一応ラスボスになりますね。

チャンピオンには、初代ライバル(グリーン)、ワタル、ダイゴ(ミクリ)と続き、ダイヤモンド・パール・プラチナバージョン(以降ダイパと呼ぶ)でその地位に就いているのがシロナです。

ポケモンのシリーズは初代・金銀・ルビサファ・ダイパ、そしてBW、XY、サンムーンと以降のシリーズに続いていくわけですが、ダイパの第4世代まででは、シロナは初の女性チャンピオンになっています。

最強の存在が女性。シビれるところです。今は女性チャンピオンも他に二人いますから、女性初だった当時の方がシロナ熱はあったのでしょうね。

しかもめちゃくちゃ強いから

だいたい四天王は、各地のジムリーダーと同じようにポケモンのタイプがある程度統一されているので、弱点がつきやすいです。

彼らの上に立つチャンピオンなる存在は、文字通りチャンピオンなだけあって、その強さは基本的に四天王たちの比ではありません。というのは、ポケモンのレベルが彼らよりも高いのもそうだし、「タイプがバラバラ」だという点から。

シロナに関してももちろんそうです。

相棒のガブリアス(地面・ドラゴン)をはじめ、各ポケモンのタイプがバラけています。ルビサファ以降2種タイプがまんべんなく揃ってきたのもあり、ダイパでは初代・金銀のような無策での1タテは難しくなりました。最高レベルの「78」も10年来抜かれることはなく、シロナはそれを象徴するような強敵トレーナーの一人になっています。

【使用ポケモン(プラチナ)】
・ミカルゲ(悪・ゴースト)Lv.58→74
・ロズレイド(草・毒)Lv.58→74
・トゲキッス(ノーマル・飛行)Lv.60→76
・ルカリオ(格闘・鋼)Lv.60→76
・ミロカロス(水)Lv.58→74
・ガブリアス(地面・ドラゴン)Lv.62→78

勝てないほどガチなシナリオトレーナーの先駆者だから

また、タイプがバラバラな相手に弱点をついて戦いを有利に進めるためには、こちらもある程度各種タイプを揃えておかないといけないといけません。ですがそんなタイプ相性をひっくり返す存在もちらほらあります。

それはなにかといえば、

・種族値が高い(ドラゴンや伝説級ポケモンなど)
・弱点が少ない・つきにくい
・タイプ一致含め単純に威力が高い技を持っている
・耐久の高いポケモンがいる

などです。シロナの所持ポケモンはこういった要素を揃えたポケモンで構成されています。

1匹目を弱点の無い“おんみょーん”に先鋒を務めさせ(BWでは影分身ポケになってます)、トゲキッスは言わずもがなエアスラ+ひるみの凶悪ポケ、ミロカロスは耐久+ミラコで反撃、相棒のガブリアスは氷で攻めたいところですが、それなりに耐久もあるためタイプ一致でない氷タイプの攻撃では仕留めきれず、逆にこちらがタイプ一致の地震で沈むことも。

ロズレイドとルカリオがまだ優しいところですが、基本的に全員弱点を突かれても逆に突き返すことを意識された技構成でもあって、1戦でHPが半分減らされることも常、いよいよガチパです。( 他のチャンピオンと比べてもシロナが強いとされるのは、タイプバランスが良いことによるもの)

またおなじみとなった、2回目以降のポケモンリーグ(強化四天王)ではシロナは「最大レベル78」で、10年抜かれなかった歴代でも屈指のレベルの高さを誇っていたのも、この強さに拍車をかけています。

どちらかというと金銀勢の筆者は、プレイ時この凶悪なレベル差に当時「マジかよぉw」と情けない声をあげたのはよく覚えてます。久しぶりのポケモンだったんだもの。

今でも歴代最強クラスと言われるのだから、これだけでもじゅうぶん人気なのもわかるところ。強さは正義!ですしね。印象にも残りやすいです。 (「シロナ プラチナ」といれると、子供がシロナに勝てないとなきついてきた親が助けを乞う当時の知恵袋を見ることができますよ……。)

ポケモンには少ない大人な女性だから

で、そんなポケモン業界でも大人げない最強の一人でもあるシロナですが、人物像もちょっと変わっています。

シロナはいわゆる「大人な女性の性格」と言えます。子供には物腰が柔らかく、目上の相手には慇懃、常識的な考えを持ち、罵倒してきたアカギに対して声を荒げたり言い包めたりはしなかった辺り、勝ち気とか気丈とか言うよりは包容力とか、慈愛とか、母性とか、そういうものが強い女性です。

全身黒ずくめなのでクールな印象を抱いた人も多いようですが、そのクールさも「大人である」の範疇にとどまり、淑女感も強いキャラです。(ポケモンのトレーナーには植物の名前があてられ、花言葉で性格を表されますが、シロナ(白南天)の花言葉は「私の愛は増すばかり」「良い家庭」といった意味があります)

こういった大人の女性らしい女性はゲーム内に決していないわけではありませんが、ポケモントレーナーとして強いかというと微妙なところで、ストーリーにイベントに、あまり絡んでいません。ようはモブキャラ寄り。

性格が穏やか・女性的であると言う意味で近いところでは、主人公の母親や、エリカ、デンリュウを看病するイベントのあったミカン辺りがぱっと浮かびます。(男性ならルビサファのミツルとか金銀のマツバとかダイゴとか)これに年齢(20代後半)を加味するとその数がもっと減るのは言うまでもありません。

▲ ポケモン内の弱気キャラの代表キャラ、ミツル

主人公がポケモン内で絡むキャラは、博士、ライバル(友達)、悪の組織の構成員と、主に3種類です。博士もライバルたちも、博士は上司のような立ち位置、ライバル(友達)は気さくに話ができる同年代の未成年と、両者の性格的な属性はシリーズ通してあまり変わりません。

ジムリーダーや四天王たちは個性の塊ですが、バトル以外で絡むことは少なく、割とその他大勢キャラに属しています。悪の組織である彼らが善良でなく、大人げない性格の極致であることは言うまでもなく。

要するにポケモンには明るくて元気な朗らかなキャラクターが多いままに陰キャが少ないのかと見てみると、エスパーやゴーストタイプ使いのサイキッカーや祈祷師、各研究者たちがいます。代表的なところでは初代四天王のキクコでしょうか。

ポケモンとの絆の力を信じているシロナは決して陰キャではありません。とはいえ、聞き専にせよ、弾くにせよ、ピアノを趣味としている節があり、考古学や神話に明るく女性だてらにロマンを語るなど、分かりやすい主張のだいぶ少ないアダルトなキャラで、子供が主役のポケモンではどちらかといえば地味キャラになってしまう可能性の方が強い、珍しくも穏やかな性格の女性でありチャンピオンでもあります。

年上ヒロインになりそうな絶妙な距離感があるから

でね きみには
もっともっと いろんな ところで
いろんな ひと いろんな ポケモンに
であってほしくって……

それを いうためだけに
ここに きちゃった

ポケモンの女性キャラに恋愛フラグが立ちにくいのは言わずと知れていることです。

健全なゲームだから。メインはポケモンという似非動物の育成ゲームだから。子供向けのゲームだから。任天堂のゲームだから。主人公が10歳~中学生くらいの年齢だから。いろいろと理由はあると思います。

(女性)ジムリーダーないしトレーナーたちは、バトル勝利後、「見直したよ!」とか「お見事です。あなたの強さにしびれました」とか、「私あなたみたいな強いトレーナーに初めて会いました!」とか、誉め言葉にもいろいろあるんだなと思うほど褒めちぎってきます。

人は基本的に無意味に褒めませんし、知的な日本ではそれに拍車をかけますが、勝負事のあとであれば話は別とも一応言えます。万国共通ですね。そこでいろいろと勘繰ってみるわけですが、彼らとの絡みはそれ以降ありませんし、彼女たちにはそもそも勘違いさせないネジが一本外れたような底抜けの明るさがあるだけです。

で、「そういうゲーム」だと、僕らは未成年のうちにやがて悟ったり、あるいは始めから大して相手にしなかったりしつつ、ポケモンを卒業するわけですが、シロナの距離感はセリフにしても物理的な距離(絡みの数)にしてもかなり主人公に近よっています。女性トレーナーたちと違い、ただ褒めるだけではなく、会話があり、親身であり、妙に明るいわけでもなく“年上お姉さん”のリアルがあり、ヒロイン的です。(その辺りは記事を見てみてください)

ポケモンプラチナ/シロナとの会話セリフイベント一覧ポケモンプラチナのシロナイベントテキスト一覧です。...

ポケモンにはいわゆる恋愛脳を刺激する要素が少ないので、そういう部分からも、シロナのヒロイン的な存在感はより印象に残りやすかったのかもしれません。ミカンのように、以降のシリーズにもよく出てきていたため、運営のお気に入りキャラだから、と言われているのも人気の息が長かった理由の一つなのでしょうね。

アニメのシロナ

アニポケでは、アイスクリームを買うのに1時間かけたりするどこかぽけっとしてる部分が協調されているようです。

アニポケはタケシの女好きとかヤナギの過去とか、とくに根拠のないアニメ映えする要素を追加脚色したりもするようですが、シロナの場合はあまり変化はなかったようです。

チャンピオンに上り詰めた経緯とか、ポケモンの神秘に惹かれつつロマンチストであったりする考古学者・神話研究者らしい部分から天然――多少浮世離れしていても違和感は全くないですよね。

▲ (株)ポケモンが公式に出しているアニメーション「ポケモンジェネレーションズ」でのシロナ

もともとゲーム内で口数が多くないためキャラ崩れする印象も多いアニポケですが、シロナはとくにキャラクター像が崩れることもなく、それでいて登場回数も多く、なかなか恵まれているアダルトな女性キャラだったようです。

まとめ

1.歴代屈指の最強トレーナーの一人である
2.ゲーム(プラチナ)のヒロインと言えるくらいに絡む回数が多かった(+各シリーズにも出てくる)
3.ポケモンでは珍しいリアルに大人な女性キャラ・美女キャラ
4.レッド並みに別シリーズでも登場していた

こんな感じの要素から、シロナは印象に残りやすく、人気キャラと呼べる存在になったと言えそうです。

とりもげが思っていたところでは、プラチナをやるキッカケでもあった、ピアノ曲である専用曲がシロナの「特別感」をいっそう印象付けていました。(戦闘前の方)

名曲であると同時に、ポケモンの雰囲気からしたら若干浮いているきらいもあるこの曲は、シロナの持っている品の良さ、たおやかさ、感受性、(神秘を追いつづけるところから)ストイックさなど、そういった人物像+物語のクライマックスを表現したものですが、それにしても難易度的に超絶技を要するもので、ガチすぎでした。「えっ!? ほんとにポケモンの曲?」最初聞いたときはそう思ったものでした。(笑)

さて、余談ですが、wikiを見てみると、「晩成型のポケモンが多く、努力をコツコツしてきた」という風にシロナの人物像を考察している文章がありました。晩成型というゲーム的な要素が果たして通じるのか、と言う部分はさておき、

なるほどそういう考え方もあるのかと思いつつ、確かにシロナはポケモンにはよくいる天才型で、言動が個性的な目立ちやすいキャラよりも、ストイックに育成なり研究なりをしつつチャンピオンになった風なキャラなので、そういう部分でも人気を獲得しているのかもと考えてみたとりもげです。世の中は劣等感を煽られ、現実味もない天才型よりも、親近感の湧く努力型ですしね。