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ロクアカ/リィエルがヤンデレ化した理由 記憶はあるけど心は2歳児、しかもその記憶は…【ネタバレ】

ロクでなし魔術講師と禁忌教典の第三のヒロインリィエル=レイフォードの外見は後ろで一つに束ねた青髪で、ジト目。特にそのジト目っぷりはデフォルトでジト目をキープしているほど。

「グレンは私の全て。私はグレンのために生きると決めた」

▲ シーンの一コマを切り取るならジト目キャラはたくさんいるけど、常にジト目なキャラは進撃のミカサとかDTBの銀とかそんなに多くない

「……ん。」が多いリィエルのその言葉は常に片言めいていて、口数も多くはありません。

でも実は大剣を投擲するほどパワーがあり(魔術の身体能力向上による)、かといってそれが災いして物騒な子にも見えたことから当初こそクラス内からは浮きましたが、ルミアやシスティのフォローのおかげもあり、いちごタルトを必死にほお張る可愛らしさ、別に実害のない部分が知れるとクラスメイトたちの不安は解けていきます。

「こうして見てるとでっかい剣投げてゴーレムぶっ壊したとは思えねーよな」

そうして晴れてクラスのマスコット的存在になったリィエル。戦友だったグレンもそんな元同僚の和気藹々とした社会復帰の姿を見て安心しました。

ですが、そんなリィエルの小澤さんにより好演された突然の感情の爆発、その出生はギャグめいている言動とは裏腹に言葉を失うものでした。フラグも出ていましたし、全てではないにせよ、察した人も多いのかもしれませんね。

「私はグレンがいないと…何のために生きてるかわからない」

リィエルの生まれた経緯

リィエルは魔造人間。魔術により作られた人間でした。

この実験は、「擬似死者蘇生」とも言える魔術実験でした。“擬似”なのは、肉体はベースとなる人間の遺伝情報を元に錬金術で新規に生成し、そこに初期化した他者の霊魂と、その人間の記憶を注入する仕組みになっているからです。

ロクアカの世界の今後の広がり次第でもありますが、リィエルは魔術で作られた人間の唯一の成功例であり、この事実は帝国ですらも知りません。

リィエルの出生についてはグレンやアルベルトなど、宮廷魔導士団を中心とするごくごく一握りの人間だけが知っています。もちろん彼らのほとんどはリィエルの理解者たちです。

リィエルの家族の行方

「兄がいた…けど…」

それにしてもリィエルを「生成」した研究者は今どうしているのか? 生みの親は?

リィエルを生み出した、つまり実験を行った魔術研究者たちは3人中2人死にました。この帝国で禁忌とされている擬似死者蘇生の実験――「Project:Revive Life」、通称「Re=L計画」の成果に喜んだ人種と恐れ、帝国に亡命を考えた人種に分かれて。

生き残った天の智慧研究会所属の錬金術師ライネル=レイヤーが、殺害した二人のようにもう少しだけでも倫理観を尊んだり、博愛主義が欠片でもあったのなら、彼がリィエルの親、あるいは家族となり得たかもしれません。

が、現実は、ライネルは、リィエルに施した記憶の封印魔術のもとに自分が「リィエルの兄」だと偽り、利用しようとした、グレンをゆうに越える天の智慧研究会所属の魔導士らしい外道で生粋のろくでなしでした。

かわいそうなリィエル。でも、リィエルにはしっかりと想っていてくれる人たちがいました。

魔術の闇に漬かっている心と体

当時、ライネルが姿をくらませたとき、まだ帝国魔導士団に所属していたグレンは、倒れていた“リィエルのオリジナル”である女性イルシアに会います。

「お願い……します……せめて……あの子だけは……歪んだ理で生まれた子だけど……あの子自体には、なんの罪も……だから……ッ!」

イルシアもまた天の智慧研究会の魔術師。つまり外道な魔導士。ですが、そのような様子はまるでありませんでした。

グレンは事前に、イルシアの兄シオンが自分の身を差し出す代わりにライネルとイルシアを国外逃亡させる取引を受けていました。グレンは驚愕し、悩みましたが、この自分たちが敵対している組織の人間の遺言を受け入れました。言動こそ殺伐としていたけれど当時からアルベルトが常々甘いと言っていたままに。

そうして2年の間、彼女の遺言もとい愛情が誠実に受け継がれたのは、リィエルのグレンへの懐き具合や、単細胞ではあるけど「悪い敵」をなぎ倒していく帝国魔導士団としての活躍ぶりを見ても明らか。ジト目な性格であるのは、当時のグレンの暗殺稼業に身をやつした暗い性格や、正義があったとはいえ殺伐とした裏社会で生きていた影響もあるんでしょうね。(もちろん、もしかしたらイルシアもジト目な女性であったかもしれないですけどね。)

「このまま学院の生徒になっちまえばいい。宮廷魔導士団から足を洗ってよ」
▲ グレンは教職についてからは特に、リィエルを保護という名目だったとはいえ全うに生きさせることができなかった負い目を感じ始めていた

それでも、実験の成功のため、イルシアの生前ギリギリまでの記憶を持っていたリィエルには常に不安がありました。それは、イルシアが兄シオンの死に目を強烈に焼き付けて息絶えたがために守らねば、また、奪われてしまうという不安(記憶)でした。

こうした脅迫概念化している不安を「始末屋として生きてきたのだから報いも当然ある…」というような諦念を持ったりして噛み砕くには、記憶は持つが、それを処理する魂(心)が2年の日々しか、しかも魔術師を倒す日々という特殊すぎる経験しか経てきていないリィエルには荷が重すぎました。またその不安には、ライネルが行った封印魔術により兄周辺の記憶にほとんどが靄がかってもいて、

リィエルにはなぜ自分がこんなにもグレンを、兄という存在を必死に守ろうとするのか、そもそもその意味すらも分かってはいないのでした。

グレンはその複雑な生い立ちを持つリィエルに対する年齢相応の細やかな気遣いを、魔術学院での楽しい日々で半ば忘れてしまっていたのでした。それはグレンがリィエルを置いて日の元に出てしまった、成長してしまった、ということでもあります。