リィエルが裏切り、8話ではまんまとさらわれてしまったルミア。ルミアは3事件連続で渦中にあったということに。いよいよさらわれヒロインですねw
ここまで連続でくるとさすがにヒロインとしては珍しい感がありますが、
ルミアのその根底には常にグレンの存在があり、グレンが助けに来てくれると信じているからこそ、とはアニメ版でも常々表現されていたところでもあります。
3年前の事件
3年前のフィーベル家に引き取られた年、システィーナが誘拐されるという事案が発生しました。フィーベル家は大地主ですからね。
ですが、実際にさらわれたのはルミアでした。お転婆のシスティよりはルミアの方が上品だったり、落ち着いていたりと令嬢っぽく見えたのかもしれません。
諦めていたルミア
「だから…私の処分はこの国のために必要な事だったと思うんです。それでも私は陛下を心のどこかで許せなかった…怒ってるんだと思います」
同年ルミアは王室から追放されました。(世間的には病死)フィーベル家という名家へ居候ができている辺り完全な絶縁宣言ではないのですが、それでも年頃の女の子には似たようなもの。
それにアニメではジャイルに勝ったり、システィの諌め役だったりそんなでもないですが、当時のルミアは人並みに傷つきやすく、泣き虫の女の子でした。追放の処遇、勝手に死んだことにされ、異能者であったがための王室や世間でのあまりにも冷たすぎる待遇の数々は、システィとの不仲、誘拐先で泣き喚かせるのは簡単でした。
アリシアの女王としての振る舞い
「その娘は私にとって存在してはならない、いなければよかった、愛したことなど一度もなかった」
「その子を産んでしまった我が身の過ち、悔やむに悔やみきれません」
親の気持ち子知らず、子の気持ち親知らず、とは良く言いますが、今のルミアと女王アリシアの関係にはそれが当たります。(6話の結界内の厳しすぎる言葉は、グレンにネックレスの事情を気付かせるため。)
そこにはアリシアが、異能者は身内であろうが忌避しなければならない女王らしい毅然とした自分と、一母親としての素朴な自分のどちらも両立させようとする王族の悩ましい事情が主に起因しているのですが、いずれにせよ、ルミア(エルミアナ)を娘として愛していたアリシアは追放直後にも関わらず、ルミアを助けるべく内密に動きます。
王室魔導士団特務分室に所属する『愚者』のグレンに依頼して。
「お願いですグレン…私がこんなことお願いできる立場ではないのはわかっています。それでもどうかあの子を…エルミアーナを助けてください!」
▲ アルベルトはその厳しい冷徹さから、おバカなリィエルは…言わずもがな、話しやすく、色々と目立たないグレンは適役の一人でもあったのかもしれません
母子に渡り約束を守っていく実は律儀なグレン
「敵はまだ残ってる。お前がその調子ならとても切り抜けられない」
「だがもしお前が泣き止んでくれるなら…」
「『俺だけは絶対お前に味方してやる。約束だ』。あの言葉がまだ生きてたなんて…」
「約束は約束だからな」
「私また助けてもらったんですね。先生やお母さんに…」
グレンの活躍もあり、無事にルミアは救出されました。
この時のグレンを、「世界中が敵に回っても俺だけは味方してやる」という言葉を、実際に世界中が敵に回ってしまっていたことも手伝い、ルミアはしっかり覚えていたわけですけど、当時16歳に過ぎなかったグレンの方は色々とナイーブな事情もあり覚えていませんでした。といっても、6話で解決した頃にはしっかり思い出していて。
そのルミアのグレンに思い出して欲しい期待感は2話、あるいは1話の噴水ゲイルブロウですぐさま披露してくれていたところ。なにげによく使われる構図でもありました。
▲ まぁ、制服の構造は気になるよねw
このグレンの色々な事情――その魔術を人殺しに使いたくない純粋な気持ちを内包していた、敵をなぎ倒していく際のどこか辛そうな表情がルミアの印象に強く残り、グレンを『正義の魔術師』と位置づけ、憧れるようになったとはルミアの言。(そうなると、久しぶりの再開で頬をむにむにされたり、サスペンダーペチンされたということになるけどね(笑)。)
そんな二人の約束が引き寄せたドラマと邂逅はお馴染みでありこそすれ、グレンのインパクト大なろくでもなさや面白講義で一気にロクアカの新鮮さを引き上げている部分でもありますが、原作ファンからしてみれば、やはりこの親子仲直り後の一幕がルミアのメインヒロイン感にもう一押ししているところでもあるんでしょうね。
「ねぇ、先生」
ルミアはそっと身を寄せ、グレンの肩に自分の頭をのせた。
「……ルミア?」
グラスをあおる手を止め、寄りかかってくるルミアにいぶかしむような視線を送った。
「今夜だけ」
ぽつり、と。静かに目を閉じたルミアが、囁くように言った。
「今夜だけ……こうして、甘えさせてください……先生……」
「……好きにしな」(2巻より)