従来のアニメの最終話のように、大団円を迎えて終わり!
というわけにはいかなかったけど、「2期の製作発表」と「2020年に放送予定」という放送終了直後にしては具体的な放送日時も発表され、ファン納得顔のもとに放送の幕を下ろした転スラ。終わりよければすべてよしってね。
TOKYO MX、BS11にてTVアニメ『転生したらスライムだった件』放送最終回
閑話「ヴェルドラ日記」をご覧頂きありがとうございました!
いかがでしたでしょうか?
このあとtvkにて25時~放送開始です!
ご視聴地域の皆様、よろしくお願いいたします!!
宣伝T#転スラ #tensura pic.twitter.com/47ZYrVUN1T— 【公式】TVアニメ『転生したらスライムだった件』 (@ten_sura_anime) 2019年3月25日
予測記事の2期考察内容でも、2期の放送開始は「早くて1年の2020年、遅くて2~3年かかる」と見ていたので、公式の2020年に放送予定という結果は上々といったところでしょうか。
来年内放送はあくまでも予定ですし、1期が2クールだっため2期も2クールになる可能性はじゅうぶんにあり、色々な準備やアクシデントから放送予定日がずれこむ可能性はありますが、
今回の放送は成功もあり、失敗もありの内容だったようなので、この経験を生かしてとくに滞りなく製作ができるのでは。とはファンの一人として思うところ。失敗だけなら次に続きませんし、成功だけなら次で失敗するかもしれませんしね。
1期はちょっと失敗した?
タイトルにもしていますが、1期は脚本の構成において少し計画性が足らなかった様子です。
具体的には神回だったオークロードの話以降ですね。16話のミリム登場の話辺りから構成・演出・作画の粗さが徐々に見え始め、20話では原作のマンガ版である9巻をバッサリカットしてしまっています。
大筋は、ケンヤたち召喚された子供たちの体内魔素を安定させることなので、そこに至るほぼサプエピソードな9巻の道程を軽くする(カットする)のは、手法としては間違ってはいません。
EDでもシズをメインカットのキャラに大抜擢しているので、当初より、リムルの強い行動(冒険)理念――シズの想いを成就させる根本の物語を進めることを重視する綿密な計画はあったように思います。
《解。測定可能な下限段階で魔素量が10倍以上です》
(まだ本気出していないのに俺の10倍以上の強さか…)
▲ 最後までブレずに完成度の高かった大賢者のCG作画
カットをしすぎて整合性が取りづらくなっている
「アリス頑張ったな。もう大丈夫だぞ」
「ありがとさん」
▲ アリスかわいい
ですが、ぽっと出の子供たちを最後にするには、アニメの最後としては盛り上がりに欠けるものですし(イイハナシダナーにはなるんですけどね)、バッサリカットされた9巻内の出来事には、
・獣国ユーラザリアの使節団の到来
・ガゼル王からの招集を受けて友好式典に出席
・イングラシアの道中でブルムンドに寄って、ギルドの試験を受ける
などの、その後に芽吹くことになる肥沃なエピソードがなかなか満載です。
友好式典の様子はカットしてもいいかもしれませんが、リムルはエルフパブの『夜の蝶』に行って、シュナとシオンに怒られるというアニメ的においしいエピソードがあり、カットされたことに対してファンが不満顔だったのはそこかしこで見かけましたし、筆者自身も残念に思いました。
新規獣人たちの登場が見られないのも残念なところ。少ない戦闘シーンもありますし、獣人の美女系の女性キャラはこちらに固まってもいますしね。
▲ 「謎の男」の立てる文句のままに、23話のちょい出ではなく、まさかの外伝でも活躍したクロことディアブロ
また、人気キャラでもあり、将来的にリムルの右腕的存在になるディアブロは、リムルの「召喚魔法」によって顕現します。召喚魔法はブルムンドにて習得しますが、アニメ内ではリムルはブルムンドに寄っていません。
適当なところでブルムンドに寄らせたり、回想で行ったことにするなり、やりようはいくらでもあるのかもしれませんが、「ブルムンドに寄っていないのに召喚術の取得(ディアブロの登場方法)はどうするのか?」といった心配な声は、ちらほら見かけていたところ。他にも後の展開に関与していながら登場していないミュウランやグルーシスのこともあります。
▲ アニメオリジナルな20話の宴会の様子。結構細かい部分まで描かれていて、リムルが元ゼネコンだったこととの一つの関連性か、建物や景観には作画のこだわりが見られる
物語の整合性を取るために、“後から”アニメオリジナルの話の流れをいくつも作らざるを得ない状況に陥るのは、さすがに脚本的に良い状況とは言えません。この辺りが、転スラの構成はあまり良くなかったと言われている理由のようです。
なんでこんな脚本構成に?
▲ 18話と20話で展開された多めだったお風呂のシーン。お風呂であったことに特別重要な意味があったわけでもないし、アニメ版転スラは色気のある作画でもないので、個人的にはサービスカットは1話でじゅうぶん
それにしてもなぜこんな後半でちょっと息切れを起こしたような構成になったか、気になるところ。
大盛り上がりだったオークディザスター戦までは無難に仕上がっていましたからね。(無難というと悪く聞こえるかもしれませんが、普通に誰でも楽しめる良アニメの内容だったと言う意味です)
個人的には16話で急に作りの粗さを感じたので、もしかしたら筆者と同じく齟齬を察した人もいるのかな?と考えてみもするところですが、実際にも、この脚本構成は必ずしも製作陣(監督の菊池さんや原作者および監修もした伏瀬さん)の意図するところではなかったようです。
もともと、菊池さんや伏瀬さん的には、オークディザスターまでの話で2クールを終えてもよかったそうです。そのくらい丁寧でなろうらしい展開の仕方で、転スラを紡ぐ気持ちがあったのだそう。
ですが、製作委員会の方がもう少し先まで話を展開してくれとの打診があり、現在のような構成になったのだそうです。(⇒原作者×監督の対談記事)ぱっと見では、あとから修正して息切れ感が漂ってしまった感はありますが、単に作画のメインメンバーが一時期手を離れたなどの理由も含めて、実際内部的にどのような折衝があったのかは定かではありません。
元からの稚拙さにせよ、アニメファンの嗜好が合わなかったにせよ、失敗するととことんまで失敗するのはアニメ業界では多々ありますが、そうならなかったのは一つ幸いと言えます。冒頭でも書きましたが、1期で全く失敗しなかったのなら、次の2期で失敗するかもしれませんからね。もちろん、2期でもっと失敗してしまうという可能性もないではないですが、転スラほど人気作品なら、1期より完成度が高くなる、というのが考えやすい結末ですよね。
「さっきの…女性…は…?」
▲ 何度見ても吹く、転スラ1期個人的名シーンの一つ(笑)