ありふれ

ありふれた職業で世界最強/楽しんでいると退屈になる12話の凄絶な戦闘 勇者は仲間を守るために殺しながら悩む者

ありふれの主人公はハジメですが、「裏」パートような位置づけで、クラスメイトたちを追うのがアニメの内容になっています。

(とくに団体競技の)スポーツものは、全国大会出場を目指し、やがては優勝を目指すのが常としてあります。それぞれのチーム(高校)の雰囲気や事情が描かれるのもまた常ですが、本人の素行の問題や意図せぬ転校などを理由に選手が学校間で行き来するのもまた常です。そこにはドラマが生まれます。

▲ 訓練時や愛ちゃんチームは体操服姿で、一応そんな雰囲気もあった

ありふれはスポーツではありませんが、ハジメチームと天之河光輝がリーダーの勇者チーム、非戦闘の愛ちゃん先生のチーム、そして後の展開、アニメ外ではありますが王都復興のために残った永山重吾のチームがあります。

「何も言わないのか?」
「何か言って欲しいの?」
「いつからだ?雫は知っていたんだな」

「ずっとずっと前からよ。香織は南雲君一筋だった」

魔人族と結託し、愛ちゃん先生を亡き者にせんとした清水幸利の別離を考えると、様々なチーム(学校)があります。12話、最終話という最終章にして、2クール枠を取って、もう少し彼らを、ありふれの内包しているヒューマンドラマを深堀してくれればと個人的に思わずにはいられませんでした。

12話の戦闘の盛り上がらない感

「させっかよ!」

「呑み込め 紅き母よ。炎浪!」

先に言っておきますが、12話は戦闘自体はよく動いてます。12話の感想記事でも触れましたが、12話のメインである天之河光輝のパーティは、前衛、中衛、魔法、補助まで揃った非常に理想的なパーティです。

だからこそ、それぞれのキャラで役割がしっかりあり、魔人族との死闘を1話を丸々使っても普通に持っていました。八重樫の切りつけるシーンなんかはかっこいいですよね。

「檜山君、私が切り込むわ!後衛の守り頼むわよ!」
「わ、分かった八重樫」

ありふれはハジメたちの活躍を追うことがメインであり、彼ら勇者パーティを追うのはサブ。とはいえ、彼らの連携の取れた活躍および死闘を見ていると、それぞれのキャラクター像を追いたくなる人もいたように思います。

天之河パーティ、または愛ちゃんパーティの誰それが可愛いとかのコメントはよく散見していましたしね。

その理由1

(南雲君が生きていました。でもあの乱暴な態度は何ですか。でもきっと沢山の苦難があってのこと。私は何もしてあげられなかった…)

▲ メインストーリーに絡んできたので、しっかり描けた愛ちゃん先生や清水幸利の心情や事情。(愛ちゃんについては「愛子乱心」などをはじめとする第三章内で、清水幸利は第三章の「望まぬ結果」で。)

一つは、光輝たちクラスメイトたちまで掘り下げる余裕が放送内になかったことです。まあ、1クールで、結構駆け足ペースでしたからね。

▲ 関係ないけど、筆者は園部優花が好き(光輝の上、清水幸利の左の子。ウルの街の防衛線でハジメに助けられたお礼を言いに来た律儀な子)

なろう作品出のアニメではよくあることではありますが、なろうの持つ個性的であるがゆえの自由度が、悪い影響を及ぼしてしまった、と言っていいでしょうね。(それを許容した上で、楽しむのがなろう作品のお決まり事ないし「マナーのようなもの」としてありますけど)とはいえ、個人的には、ありふれ原作の読みやすさや密度はトップクラスだとも思います。

その理由2

「ハッキリ言うが、俺がお前らに持っている認識は”ただの同郷の人間”それだけだ」

もう一つは、ありふれが「非人道的」な物語であるということです。

非人道的といっても、主人公に据え置いている時点で既に非人道的ではないですし、ハジメは決して無差別に殺戮を繰り返すわけでもないのですが、それはさておき。

主人公であるハジメは、奈落の底に落ちてからがらりと人が変わりました。多感な時期に会った裏切りということもありますが、ただただ生き残るために、容赦というものを捨てました。口は悪く、暴力的で、敵と認識すれば容赦なく射殺します。稀代の傭兵とか、暗殺者とか、そのレベルの生殺与奪さですね。ユエ、シア、ミュウ、あと変態という守るものが出来てからは多少マイルドになっていきますが、続きます。

「仲間をやられて逃げられるか!」

一方で、天之河光輝はそれとは対照的な「人道的な」クラスメイトです。勇者らしくそしてKYでもあるキャラと言えば、あくまで一般人を描くのが一つの特性としてあるなろうではよくあるキャラクター像なんですけど、ありふれにおいては輪をかけてこの勇者らしさを描くこと、つまり“堕とす”ことを意識されているように思います。

この二人を描くことに関して、ないし、どちら寄りになるかに関して、どちらに軍配があがるのかは言うまでもありません。主人公はハジメであり、追っているのもハジメのストーリーであり、ありふれはハジメの非人道的な行い(ただし人助けをできないほどに堕ちているわけではないし、傲慢でもない)ないしそこから生まれるギャグを楽しむ作品ですからね。

もしありふれを楽しんでいるなら、クラスメイトたちの描写不足もあり、天之河の「なぜ殺した!」な物言いに疑問が湧くのは当然のことです。実際問題、彼はそれでパーティ全滅の危機に陥ったわけですからね。

鈴が倒れ、メルド団長が死に(かけ)、怒ったまではよかったですが、仲間の危機と現代日本な人道意識を天秤にかけてそれでも敵を殺せないのは、残念ながら勇む者とは言えません。勇者には本来なりたくてなったものではなかったにしても、光輝にいくらかその称号に納得している部分があったにせよ、本来の勇者であれば、“殺してから、または殺しながら悩まねばなりません”からね。

「メルドさぁぁああああん!」

「呆れたね。今になってようやく気が付いたのかい?人を殺そうとしていることにさ」
「俺は…」

光輝のその、堅物な現代人的葛藤を楽しめるのもまたありふれなんですけどね。

「雫はどこにも行かないよな?」
「さぁね」

ちなみにそんな天之河光輝の人物像についても例によって、話的にだいぶ後ですが、原作ではしっかり迫っています。彼が敏腕弁護士だった祖父の影響を多分に受けているというのはなかなか業です。(⇒第七章「勇者の根幹」)自分の性格的欠陥をなかなか直視できずにいる光輝に対して、「もう一遍、人生やり直して来い。大馬鹿野郎」と純粋に拳で殴るシーンは、ありふれの名シーンの一つであるように思います。

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