お正月も終わり、転スラも第二クール放送が始まるわけですが、公式サイトではキャラ紹介ページが追加されていますね。
数字の上では何人か抜けていますが、総勢41人となっています。多い(笑)あまり気にしていなかったのですが、結構な大所帯です。
キャラ紹介欄の多かったアニメというと、グレンラガンやガンダム(オルフェンズ)をちょっと思い出しました。グレンラガンの公式サイトを見てみたら1期20人2期19人でした。思っていたより少なかったです。
鉄血のオルフェンスの方を見てみたら、第1期が48人、第2期が39人でした。さすがガンダムですw
ともあれ、転スラの41人もなかなかのキャラ量です。ガンダムの場合は、敵も含めているので紹介欄も多くなっているんですけど、転スラの場合はほとんど味方のようなものですからね。
先日のベクター記事などでは、そんな転スラを「ファミリーライク」だと形容してみましたが、ほんとそうだなぁって改めて思いました。
ビジネスライクとファミリーライク
ファミリーライクとは言葉の通り「家族のような」という意味です。ビジネスライクという言葉がありますが、対義語に使っても差し支えはないかもしれません。
ビジネスライクな人とは、とくに仕事の場ではないのにまるで仕事をするように能率主義な(事務的な)一面を見せる人のことを主に指します。
転スラでも町ないし国を大きくしていく物語ですから、ドワルゴと盟約を結んだり、ヨウムを英雄にするなどの政治的一面も含めてそういうビジネスな場面は多々あります。(アニメではその場面は2クールの後半あたりから増えるでしょうね)
▲ やっちまったり、脅したりすると、こっちのビジネスになる
ビジネスライクという言葉から一番近いと言えそうなのは、ソウエイでしょうか。ですがソウエイは“やっちまう”実行力も高いです。ビジネスは生死をかけるものではないですし、基本的に脅すものでもありません。(笑)
「よくぞ申しました。リムル様の偉大さに気付くとは」
「あなたは見どころがあります!」
▲ 秘書というより伝道者( `ー´)ノ
立場的には秘書として手腕をふるうはずだったシオンは脳筋ちゃんで、ボディーガードの役回りになりましたし、有能なシュナは主に職人としてリムルを支えるように。
ほかの魔物たちにしても、彼らの暗黙なルールである「弱肉強食」のままに、これまでは魔素量の差や魔力の質などによっておおざっぱに解決してきた様子なので、結局のところリムルが政務もビジネス面も担ってしまっています。
ビジネスは魔物ほど力のない人間特有の知的な考えなので、当たり前といえば当たり前ですし、現代の進んだ考えを中世的な異世界に示していって周囲を驚かせていくのは、異世界転生ものの風物詩でもありますよね。
裏切るものと裏切らないもの
リムルは魔素量が魔王に匹敵するほどの持ち主なわけですが、そんなリムルに対して魔物たちは恐れの感情を抱きません。ゴブリンにオーガたちに、はじめこそ畏怖していましたけどね。
じゃあどう見ているのかというと、まるで一家の大黒柱のように見ています。魔物全員がリムルをそう見ています。じゃあリムルがそこまでの傑物だったのか?と言われると、そうではありません。
▲ 鉄血のオルフェンズ(ガンダム)の名瀬。
冒頭で挙げたグレンラガンのカミナや、オルフェンズの名瀬などは、懐の大きな親分肌で分かりやすいファミリーライクな傑物として健在していましたが、リムルは異世界転生ものらしく、後輩への面倒見はよかったようですが、いたって普通の現代人です。
37歳と多少年を取っていることが、珍しいところではありますけどね。
「それでもお前は死ぬ。だが安心しろ。俺がお前の罪も全て喰ってやるから」
▲ 逆に言えば、年をしっかり取って、「まともな大人」になっていたことが、“不器用な僕ら”にとって最も親しみやすい考えのシンプルなスライムにさせたのかも。よくある例のアンケートで、リムルないし三上悟を兄に持ちたいと回答する人はなかなか多いように思う
それにしてもこう改めて見てみると、不思議になってきます。なぜそんな普通の現代人であったリムルが、今のように魔物たちの大所帯を束ねられているのか。
ここに影響しているのはまぎれもなく名づけシステムです。名づけをしたからこそ、忠誠心が生まれ、リムルの配下になりました。名づけによって、魔物も進化するので(リグルドからしたら「格があがる」)、魔物の方からしても感謝の念しかありませんしね。(もちろんヴェルドラの魔素という「最強の力」を持っていたこともあります)
「仕方ありませんよ。主に見合わなけりゃこっちだってゴメンだ。名を付けてもらうのも誰でもいいってわけじゃありませんからね」
オーガたち、とくにベニマルは、主人と仰ぐかどうかの感情は別にあるとそういう旨の発言をしました。同じくゲルミュッドから名づけをされていたガビルは、知能の差なのか性格なのかそういう感情には至っていませんが、とはいえ名づけさえしてしまえば、絶対服従の部下になることはひとまず明確な様子。
カミナや名瀬や、オルガたちなどの傑物が築くファミリーライクと、リムルが築いているファミリーライク。人間同士のファミリーライクか、魔物同士のファミリーライクかの差なわけですが、傍目で見ていて安心感があるのはリムルのファミリーライクです。
生々しい人間劇と、再生や蘇生が可能なファンタジーの世界観で、物語の土壌が違うので当然と言えば当然なんですけど、その差は両者が結んでいるものが、目に見えない信じる心か、力を与え忠誠を誓わされるかの差。人間だからこそと言えるのでしょうけど、他人を信じるのはなかなか難しいことです。
現代で言えば、力を与えるっていう行為は、地位や権力を与えることに相当しそうですが、それでも裏切られることがあるのが人間劇です。そう考えると、転スラないしリムル配下の魔物たちには裏切る気配がありませんね。
転スラに限らず、数あるファンタジー作品の魔物たちがよく言うように、「人間ほど悪者はない」という言葉の意味がよくわかってくるところですし、物品や地位をあげたとしても必ずしも忠誠を誓わない「心までは支配できない」という人間の言い分もよくわかるところ。
努力のできる王さま
「リムル様の噂を聞き庇護を求めて近隣のゴブリン村から集まってきたのです!」
「へ、へぇ…」
「リムル様!おかえりなさいませ!」
とはいえ、魔物たちの主としてだらけたり、ふんぞりかえっているかと言えば、リムルはまったくそんなことはありません。
名づけは数十人の規模だったのから、500人、そして15万人規模にもなります。これを一人一人行う“めんどうくささ”は痛いほど分かりますし(笑)、そんな途方もない苦労を王さま一人が背負うのは、異例と言えます。それにくわえてリムルは転スラの世界の建築技術などの技術を取り入れたり、現代の文明(とくに食文化)を自ら与えたり。リムルの努力っぷりは結構半端ないです。
▲ そしてチーン
地位や権力を与えても裏切られることのある人間劇。力(地位や権力)を与えれば裏切られないが知性の足りない魔物劇。人間と魔物たちとの友好関係を盤石にするために必要なもの。
リムルが、僕らからしてみれば普通で、異世界の彼らからしてみれば異例のファミリーライクを体現し、やがて魔物・人間を問わず慕われる魔物になれたのは、無意識にせよそうした努力を怠らなかったこともそうですが、(結果として)国を大きくしたり、自身の力を強大にしたりする、邁進する姿勢を崩さなかったことにもあるのかもしれませんね。
「初めまして!俺はスライムのリムル!悪いスライムじゃないよ!」
▲ なんだかんだ、この「愛くるしいスライムボディ」がフル活用された結果なのは言うまでもないけれどw(⌒ ⌒)